ふくしまワンデイドライブ

メーガン妃も着用した世界最薄のシルク!「齋栄織物」の工場を訪ねて~川俣ドライブ旅③

中通り

こんにちは、トヨタレンタリース福島 サトウです。

今回ドライブ旅に選んだ川俣町は、福島市から車で約30分ほどですが、名物の美味しいがいっぱい!そして世界に誇れる美しい工芸品まで!訪れたらすっかりハマるはず。日帰りのドライブにはぴったりです。

※前回記事はこちら↓
川俣グルメがギュッ!と詰まった「かわまた銘品館シルクピア」~川俣ドライブ旅①
グルメだけじゃない!道の駅に隣接する「川俣おりもの展示館・からりこ館」~体験型・川俣ドライブ旅②

◆世界を魅了する美しい絹織物

伝統的な技法をベースに世界一薄いシルク「フェアリー・フェザー(妖精の羽)」

伝統的な技法をベースに世界一薄いシルク「フェアリー・フェザー(妖精の羽)」

道の駅川俣「銘品館シルクピア」で私たちが魅了されたなかに、この「フェアリー・フェザー」(妖精の羽)を使ったスカーフがあります。なんと、あのエルメスやアルマーニが今、注目する絹織物です。この光沢の美しさにうっとり☆

繊細な絹織物ができる現場を見たいと、「齋栄織物(さいえいおりもの)」さんにお訪ねしたところご快諾いただきました!

◆メーガン妃も着用のフェアリー・フェザーの故郷を訪ねて

自社開発した世界一薄い絹織物、フェアリー・フェザーとは、8デニール(髪の毛の6分の1の太さ)という、クモの糸のように超極細の絹糸を織った(極薄手の平織り生地)です。薄くて重さをまったく感じさせないのに、羽織ると張りと光沢があり、そしてしなやか。

なんと、イギリス王室のヘンリー王子と結婚したメーガン妃もフェアリー・フェザーを使ったドレスを着たということで、ますます好奇心が膨らみます。
IMG_2938田園風景や森林が広がる中、趣ある建物は静かに建っています。普段は入れない所に入れる…それだけで贅沢な体験です。聞こえてきた機織り機の音につられながら、作業所内を案内して頂きました。
IMG_2902中に入ると、凄い数の糸繰返機が目の前に。織機にかける経糸(たていと)を準備するための機械で、かせ糸を1本1本糸枠に巻き取ります。この糸繰も従来は手回しで、1本ずつに巻いていたのだとか。木造造りの工場は、創業当時のままだそうです。
IMG_3473経糸を作るには、「整経(せいけい)」という工程を行います。まさに経糸を整える作業です。
IMG_2904天井に吊るされている原料の生糸。一番最初に生糸の下準備として、油分が入った液体のりに生糸をつけて、陰干しで3~4日乾燥させます。この作業で丈夫な生糸ができるのです。
IMG_2905またまた、目に飛び込んできた、凄い数のボビン!必要な織物の長さに合わせて、経糸を準備しています。約1万本の糸は、長さは1kmもあるそうです。ボビンの数も上下で328個、それをたいこに巻いていくのですが、1本ずつ手作業で、糸を綺麗に引き揃えます。少しのミスもできない作業が続きます。
IMG_2908糸が引き揃って流れていく様はとても綺麗です。蜘蛛の巣みたい。
IMG_2909目に見えない糸の端を手の感覚で探しあて、次々に結び1本に繋ぎ合わせる熟練の技にも驚きました。まさに神業です。

◆1万本の糸に、絹糸の命をつなぐ作業は1ヶ月にも…

機械に糸をかける前、人の手で3mの針金の穴に決まった順番で、1万本の糸を1本ずつ通すなどの作業があります。
IMG_2916とても重要で難しく、地道で根気の要る作業に、見学しながら只々感動😍
IMG_2912機械に設置するまでの準備は、ほとんどが人の手による仕事が多く、熟練の手技は見事です。

◆世界一薄いシルクのためには「世界一細い生糸」

IMG_2921自働織機が並ぶ工場内。トンタントンタンという音が響き渡り、ズラリと並ぶ織り機は約60台。この織機を6名の職人で管理しているそうです。私たちもその光景に圧倒されっぱなしです。
IMG_2927ここでも、超極細の糸切れを防ぐため、糸のテンションを手で確かめながら1本づつ丁寧な管理が続いています。
IMG_2928近づいて見るとこんな感じ。これから沢山の経糸が結ばれていきます。
IMG_2919最後は、検反(けんたん)です。仕上がった生地に傷や汚れがないかをチェックする工程です。職人さんの厳しい目と丁寧な仕事が品質を守っています。
IMG_2917現在、川俣町の織物会社は約20社ほどに。機械化しても、かなりの部分を人の手によって紡いでいるということが、この薄手で上質なシルクの生産を受け継いでいるのだと思います。長い年月をかけて向き合ってきた歴史に、私たちも今まで目にすることのなかったこの織りの技術。丁寧に大切に織り上げられた、良い物を長く使っていきたいと、今まで以上に思う事ができました。

■桂由美さんがフェアリー・フェザーを使い、デザインしたウエディングドレス。約600㌘という軽さ【写真:greenz.jpより】

■桂由美さんがフェアリー・フェザーを使い、デザインしたウエディングドレス。約600㌘という軽さ【写真:greenz.jpより】

この日、取材に協力して頂いた入社2年目の円谷さん。震災を機に福島に戻り、齋栄織物で働き始めたそうです。世界に誇れるものづくりを自分の仕事にし、ひとつ々丁寧に説明してくださる姿に、織物に対する特別な愛情を感じました。そして失われゆくものを受け継いでいく職人さんたちの姿を忘れることなく、応援していきたいです。皆さんにも、世界に誇る川俣町のモノづくりの現場をぜひ見てほしいです。そして、手に取ってその素晴らしさを感じてくださいね。

【齋栄織物 株式会社】
住所:福島県伊達郡川俣町鶴沢馬場6-1 (JR福島駅東口より車で約30分)
電話:024-565-2331
http://saiei-orimono.com/
※見学希望の際は、事前に電話でお問い合わせください。
※取扱店舗 かわまた銘品シルクピア他・福島県観光物産館・福島空港・東京日本橋ふくしま館(MIDETTE)

追記:織物は、中島みゆきの糸の歌にあるように「たーての糸はあなた、よーこの糸は私、織りなす布はいつか誰かを暖めうるかもしれない」とあるように、この詞の最後『仕合わせ』な気持ちで後にしました。ありがとうございました。


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